+7”42。
これは2018年世界選手権インスブルックのコントロールラインを通過したときの数字。
ライン区間を終えてサーキットに入った段階での先頭とのタイム差。
これが現実なんだと絶望した。
ヨーロッパでプロになる。
そう目標を立てている人間なら世界選手権は特別なもの。
世界との差が一目でわかる。
それが毎年9月の最終週に開催される。
ジュニアの頃に2回、アンダー2年目で1回。
ここは本当に特別な場所なんだと過去3回出場した世界選手権で感じた。
雰囲気、オーガナイズ、気迫。どれもネイションズカップよりも更にもう一層高いと感じる世界。
そこで去年絶望した。
言われた言葉は中途半端にやるならやらない方がマシ。
悔しいが全くその通りだった。
そして2019年。
あのタイム差を0に近づけるべく、ネイションズポイント獲得を目指しナショナルチームで活動を続ける。
1月は沖縄合宿。
2月カメルーン
3月春のネイションズ
4月アジア選手権
5月TOJ
シーズン前半をナショナルチームの活動に定期的に呼んでもらい活動するもののうまくいかない。
過去2年連続で勝利していたアジア選手権。今年は勝つことができなかった。
重要なところで照準を合わせられていなかった。
世界選手権の枠はネイションズポイントを大量獲得することが難しいため、アジア選手権で決まるといっても過言ではないがそこで失敗した。
表彰台に乗ることも叶わなかった。
自分としてのまともな結果は5月のネイションズカップフランス大会の26位のみ。
しかしその順位ではポイントを獲得することはできない。15位以内でなくてはならなかった。
その差は+7秒。
6月全日本選手権
7月フランスアマチュア
8月フランスアマチュア
9月スペイン・フランスアマチュア
全日本選手権に向けてコーチと身体と気持ちを組み立ててゆき機材に関してもたくさんのサポートを受けて勝つつもりでスタートラインに並んだ。
しかしそれも空回りに終わる。
フランスへ戻るもうまく流れを整えられずに2か月を棒に振る。
8月。世界最高峰の舞台ツールドラブニールへの切符はなかった。
ようやく自信を持ってレースが走れた9月。
勝ちはないものの内容は次のレースですぐに生かせる内容や走りでようやく希望が見えた。
しかし9月である。
シーズンも終盤。移籍は8月で閉まる。
何も残らないよりは良いが9月か。と自分でもため息が出る。
最後の可能性に掛けてやるべきことを後半積んできた。常に最高の舞台をイメージしてレースを走った。
しかし結果はないのだ。
今年最高のリザルトは8月の123カテゴリーでの5位。
7月まではTOP10にすら入れない状況だった。
ようやく戦えてもTOP10を逃す。表彰台を逃す。。
ジュニアの頃2カテゴリーで自分がしていたことと今思うと重なった。
来年をどのように組み立てるのか。
やりたいことはたくさんあるしむしろ吹っ切れている。
現状は正直苦しいがここから先もベストな選択をしていく必要がある。
今の自分に本当に必要なレースは何なのか。どこに焦点を当てるのか。今年はそれがうまくいっていなかった。
アンダーの4年間のイメージは
1年目 慣らし期間
2年目 トライ&エラー
3年目 テスト
4年目 成績づくり
こんな流れを理想としていたが3年目に大きく崩れることになったことは否めない。
ただ1つ1つ失敗したからこそシーズン終盤に頑張れたのかもしれないが移籍最後の希望を失った感は否めない。
何が自分に合っていて捨てたほうがいいものトライしたほうが良いもの。
少しずつ失敗を繰り返して人は成長する。
ようやくアンダー3年目にして気づいたこと。今年はたくさんあった。
どのレースを走れるのか。
どのレースを選べばいいのか。
どのレースに照準を合わせるのか。
どのレースをどう走ればよいのか。
どのレースを勝てるのか。
どのレースを勝てばプロへ上がるのか。
来年を思うと胸が痛い。そして今この土地に居ることが苦しい。
世界との差は縮まったのか、それとも開いたのか。
自分には今それを知る権利はない。
頂点へ行くための準備は今年もできていなかったようだ。
来年UCIレースを何レース走れるのだろう。
来年エリートナショナルを何レース走れるのだろう。
来年勝負できるのだろうか。
やってみなきゃわからない。
今年もたくさんの支援を受けてここまで来た。
年を重ねるごとに薄れていくリザルトでも応援してくれる人はとても温かかった。
大学を卒業する年になるが自分は何も生み出さない。
親には申し訳ないがあと1年やらせてもらう。
最後にEliteNationalでようやく勝てるかもしれないと感じたこと。これが得られただけでも今シーズンに価値はあった。
来年はEliteNationalで3勝。
ようやくそれを口にできそうなところまできた。
そう感じられたら続けるしかない。
走りながら鳥肌の立つあの感覚。痺れるあの感覚。その先に勝ちがあり価値があるはず。
苦しい状態でも帰ってくる人たちが教えてくれたように。
来年のイヤーエンドパーティで笑えるように。
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